2017年2月6日月曜日

NHK実践ビジネス英語:統計学用語・四分位quartileを巡って


NHKラジオの実践ビジネス英語を時々聞くのだが,今年1月13日の放送で気になる単語があった。それが quartile である。

本文では,以下のように使われている。

But the U.S. ranks in the bottom quartile for life expectancy and infant mortality.

ここで, ranks in the bottom quartile の部分の和訳は,「下位4分の1に入る」となっている。

講師の杉田氏は, quartile を「統計学用語」と単純に説明していたが,実は,非常にやっかいな単語である。まずは,私のYahoo!知恵ノートの解説を参照してほしい。

四分位数と四分位群:複数定義と用語の区別,その歴史

そこにも書いたが,英語の quartile には,4等分する区切りの値(value)である「四分位数」と,そのようにして分割された群(group)である「四分位群」の二つの意味がある。実践ビジネス英語で取り上げた例文は,前置詞 in が使われていることからも分かるように, 四分位群の意味で使われていた。

杉田氏が述べた「統計学用語」という解説に反して,「統計学」という講義やテキストでは「四分位数」が使われ,「 四分位群」については解説されないことが多い。前述の知恵ノートで取り上げた高校数学で学ぶのも「 四分位数」である。一方で,新聞やテレビやラジオで,しばしば使われるのは「 四分位群」である。

しかも,「 四分位群」の意味では,形容詞として, bottom や top が使われるが,「 四分位数」では, first, third や lower, upper が使われる。さらに,統計学的には, bottom quartile の上限が lower quartile に相当するという,何ともややこしい定義になるのである。

もちろん,杉田氏の解説が間違いというわけではなく,学術論文では,「 四分位数」も「 四分位群」も使われる。しかし, quartile が大学や学校で学ぶ「 四分位数」の意味なのか,メディアで多く使われる「 四分位群」の意味なのか,それを区別して考えることは重要である。

quartile  四分位数と 四分位群;

その他の統計学上の話題は,私の研究室の解説リスト参照