2016年5月4日水曜日

岡谷市役所と活断層 糸魚川-静岡構造線


熊本地震で,少なくとも5市町の庁舎が被害を受け,業務に支障をきたしているという(朝日新聞4月23日毎日新聞4月16日日経新聞4月23日など)。

本来,防災拠点となるべき庁舎が地震で被害を受けることは,極力避けなければならないはずであるが,布田川・日奈久の活断層が確認されていた熊本県でも,それが避けられなかった。

同様な状況は,本州中部を縦断する第一級の活断層・糸魚川-静岡構造線が存在する長野県岡谷市でも,十分想定される。

岡谷市役所の旧庁舎は,現庁舎から東へ約100mの塚間川左岸(東岸)にあり,1986年まで市役所として使われていた。現庁舎が建設される以前から,既に,市役所近くに活断層が推定されていて,例えば,岡谷断層発掘調査研究グループ(1984)の図2には,それが描かれていた。

それにも関わらず,なぜか,現庁舎は活断層の近く,ほぼ直上に,移転建設されたのである。市庁舎だけでなく,保健センターも活断層のすぐそばに建設された。


図1. 赤線が岡谷断層の断層崖,A 岡谷市役所,B 岡谷市保健センター,C 保健センター西側の断層崖となっている坂道(図2),D 旧岡谷市役所

下の写真は,保健センター裏側(西側)の断層崖(矢印)を塚間川から見た写真であり,実際は坂道なのだが,このように見ると,まるで壁のようである。

岡谷市保健センター裏側(西側)の断層崖は,坂道となっている。
図2. 岡谷市保健センター西側の活断層.矢印が断層崖.

写真の奥に見えるのは,岡谷市民病院であり,市役所や保健センターとの高度差が分かる。

市役所や保健センターは,もちろん,それなりの耐震建築なのだろうが,わざわざ断層近くに建設したことには疑問符が付く。

2012年には,市役所および保健センター西側の断層崖の北北西延長,約300m地点,敬念寺の裏側でトレンチ発掘調査が行われ,実際に活断層が確認された。それにも関わらず,市役所および保健センターの建物と活断層の関わりについて,市民に何ら知らせていない。

もともと岡谷市では,活断層対策をおろそかにする傾向がある。現市長・今井竜五氏も,その姿勢は変わっていない。例えば,岡谷市看護専門学校を設置する際にも,市議会で,その直下の活断層の存在が指摘された。しかし,市では産業技術総合センターのデータベースに活断層が示されていることを把握していながら,原発敷地内の活断層調査を例に挙げて,調査しても活断層を特定するのは難しいとか,直ちに大きな危険性を判断するのは難しいとか,言い逃れみたいな答弁で,結局,知らん顔して,看護専門学校を開校した。

活断層だらけの諏訪盆地に生活するなら,ある程度の被災は覚悟が必要なのだろうが,それにしても,公共施設や教育施設に対する活断層対策が軽視されているのが岡谷市の現状である。

参考文献

岡谷断層発掘調査研究グループ(1984)糸静線活断層系のトレンチ調査(岡谷地区,1983).地震予知連会報,32: 363-372. PDF