第 9 回信州ホタル保護連絡会は,2013 年 9 月 29 日に,小谷村・白馬乗鞍交流センター「ちゃんめろ」で開催された。
この連絡会は,開催地周辺のホタル生息状況やその保護を発表するとともに,県内各地のホタル保護団体の活動や問題点を語り合う場である。
信州ホタル保護連絡会の会議にしては珍しく,開催地・小谷村の松本久志村長が出席,挨拶された。
もちろん,わが恩師であり,長野ホタルの会・会長の三石暉弥先生の講演もあった。志賀高原・石の湯ゲンジボタルの調査研究で,ずっとお世話になっている(特異なゲンジボタル生息地,志賀高原・石の湯)。
会議の中で,いくつかのホタル保護団体から,ホタルがなかなか増えないとか,減ってしまって回復しない,という悩みが出た。それに対して,私と三石先生が主張したのは,根気良くホタルの生息状況を見守ってほしい,ということであった。
私も,辰野町のように,観光用だから,町おこしだからといって,安易に県外から外来種を移入し,それを増殖させないでほしいと要請した。(長野県辰野のホタル再考:観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの)。
さらに,長野県内各地のホタル保護団体共通の悩みも浮き彫りになった。
その一つは,若い人がホタル保護活動になかなか参加しない,というものであった。ほたる祭りだの,町おこしだの,観光や経済でメリットがあれば,さあ若者の出番だ,ということにもなるだろうが,そんなメリットが無ければ,ホタルを真っ当に保護していこうなどと,老若男女問わず,誰でもそう思わないのかもしれない。全国ホタル研究会や長野ホタルの会も高齢化?してしまいそうな予感もある。
もうひとつの共通な悩みというのが,クマの出現であった。これは,西日本ではあまり出てこない悩みかもしれないが,中部地方以北では,問題となる状況である。
私個人としては,ホタルもクマも守りたい,というのが,率直な気持ちである。
ホタルとは直接関係ないが,ショウリョウバッタモドキ (Gonista bicolor) は,長野県小谷村が,国内最高標高の生息地と言われる(丸山隆・井田秀行, 2022)。
関連サイト
長野ホタルの会が創立20周年: 三石暉弥先生と生物多様性保全
第5回信州ホタル保護連絡会: 移入ホタルの何が問題か? 辰野町松尾峡を例として
第8回信州ホタル保護連絡会:松本市の有害外来種巻貝コモチカワツボ
参考文献
丸山隆・井田秀行 (2022) 長野県小谷村に残る伝統的茅場の昆虫相 (続報): 2020 年と 2021 年の調査結果 信州大学教育学部附属志賀自然教育研究施設研究業績 59: 45-56.