2013年12月30日月曜日

長野県岡谷市の塩嶺西山地域における断層と地すべり地形: 日本活断層学会2013年度大会発表


日本活断層学会2013年度秋季学術大会が,11月29-30日に,つくば国際会議場で開催され,私も発表してきた。全体の発表予稿集は,学会のウェブページから入手できる.

下の写真は,会場1階の入り口付近。



30日には,シンポジウム「活断層とは何か-その本質とリスク」が開催。




このシンポジウムだけに参加した人も何人かいたが,それでも,もっと多くの人に見てもらいたかった。ただし下の写真は,シンポジウム開始前の様子。



ポスター発表での質疑応答は活発だった。

矢印が,私の発表:
長野県岡谷市の塩嶺西山地域における断層と地すべり地形要旨PDF

日本活断層学会2013年度大会: 糸魚川-静岡構造線と塩嶺断層
日本活断層学会2013年度秋季学術大会ポスター発表

要旨を読むと分かるが,岡谷市の塩嶺病院付近の断層の野外調査データも含まれる。以下のブログページでも指摘したが,同病院のまさに直下に,活断層の存在が指摘されていて,今回の調査でも,その周辺に,多くの断層や地すべり地形の実態が浮き上がってきた。

岡谷市・塩嶺病院直下の活断層: 岡谷市看護専門学校を設置
活断層・「塩嶺断層」の調査に対する岡谷市の姿勢: 岡谷小学校存廃と関連して

質問者から指摘されたが,問題は,その活動性(活動度)である。しかし,こればかりは,トレンチ調査のような精密な調査をしないと分からない。

上のブログでも書いたように,岡谷市議会・平成25年第1回定例会でも,調査の必要の有無が議員から質問されたものの,岡谷市役所の宮坂部長の答弁は,
調査しても活断層を特定するのは難しい,直ちに大きな危険性を判断するのは難しい
というものだった。いかにも,面倒臭い,といったニュアンスが感じられる答弁である。新設の教育機関として,このような状態で良いのだろうかと,はなはだ疑問に思う。

ポスター発表で興味深かったのは,予稿集p66-67(発表番号P-9)にある
仏念寺山断層帯に現れた断層露頭とその破砕特性 (中川康一)
であった。

大阪府豊中市で,活断層の真上にマンションは危険だとして,住民が提訴した(日本経済新聞,2011/8/26)断層の研究である。現場に立ち入って調査ができなかったというが,
もし断層が活動した場合には、地表に脆性破壊による大きな段差が生ずる可能性を示唆している。
という中川氏の指摘があるだけに,精査してほしい問題である。これも,面倒なことには関わりたくない,という当事者の気持ちの表れと言えそうである。

活断層学会で発表したついでに,同じ「つくば」にある,産総研の地質標本館を見学してきた。

以前のブログで,岡谷市の敬念寺の裏で,活断層である岡谷断層のトレンチ発掘調査の様子を紹介した。その岡谷断層の剥ぎ取り標本が,ど~んと,この地質標本間に展示されているのである。

地質標本館にある岡谷断層の剥ぎ取り標本
地質標本館にある岡谷断層の剥ぎ取り標本

岡谷断層の発掘断面図
岡谷断層の発掘断面図

岡谷断層が1000~2000年ごとに活動した証拠
岡谷断層が1000~2000年ごとに活動した証拠

是非,皆さんも一度見て欲しい。

2013年12月21日土曜日

Ecological Entomology 編集部から Greeting Mail


昆虫生態学の専門誌 Ecological Entomology の編集部から Greeting Mail が突然届いて驚いた。

差出人は,Editors-in-Chief の Prof Jane Hill, Prof Rebeca Rosengaus and Dr Francis Gilbert の連名。内容と添付ファイル画像は以下のようなものだった。

Best wishes for the holidays and a successful New Year.
With many thanks for your continued support of Ecological Entomology.
Kind regards

Greeting Mail from Ecological Entomolog
文章自体は,ごく簡単なものだが,添付画像が,なかなか凝っている。

同紙に関連する世界中の研究者に送ったのだろうか?昨年は来なかった。

日本の学会や出版社は,私が知るごく限られた範囲ではあるが,このような Greeting Mail をもらったこともないし,送ることを聞いたことも無い。

2013年12月4日水曜日

変色したアマガエル


少し前の話だが,10月21日に,岡谷市今井のコンクリート上で,ニホンアマガエル(Hyla japonica)を見つけた。最初は,小石かチューインガムの捨てたものと思った。



しかし,近づいてみると,灰褐色に変色したニホンアマガエルだった。


日本に広く分布し,人目にも付きやすい,いわゆる「アマガエル」である。通常は,青緑色をしているが,土,枯葉,コンクリートなどの上では,このような色に変色し,体の模様も明瞭になってくる。

お見事!と言いたいところだが,コンクリート上では少々目立ちすぎの感がある。やはり,人工物の色に似せるのは至難の業なのだろうか?

Welch検定が主流,単純t検定やANOVAは時代遅れ:Statwingの話題から


2016年7月26日追記

エクセル統計には,正規性も等分散性も仮定しないBrunner-Munzel検定が装備されている。その解説には,「マン=ホイットニーのU検定と異なり、2標本の等分散性を仮定せず」と明確に書いてある。後述するように,U検定も等分散を仮定することに注意が必要である。なおエクセル統計は,MicrosoftのExcelと混同されるが,英語名はEkuseru-Toukeiである。

2015年5月24日に福岡市で開催された日本臨床工学会の市民公開講座で,倉持龍彦氏が,「EZRで統計解析を実践しよう」と題して,EZRの利用法だけでなく,正規分布か否か,等分散か否か,などに分けて,適用される統計学的検定法を紹介した。私も,この資料作りに協力,助言した。ここでもBrunner-Munzel検定が取り上げられた。

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t検定や分散分析,さらにはノンパラメトリック検定の興味深い話題に,脇道にそれながら触れていく。

2群(2標本),あるいは,3群(3標本)以上の平均値の差を検定する際に,まず,分散が等しいかどうか(一様であるかどうか)調べて,それから検定法を選択するというのは,多重検定に相当する,というのをYahoo!知恵ノートに書いた。

等分散検定から t検定・分散分析(ANOVA)・ウェルチ(Welch)検定への問題点

そこでは,特に,t検定を例として取り上げ,以下のような対処法が妥当であることを指摘した。

  1. 等分散かどうか検定せず,Welch検定だけを実施する。
  2. 従来どおり,等分散かどうか検定し,その結果によって,検定法を選択する。ただし,これは多重検定なので,例えば,Bonferroni(ボンフェローニ)法などによって,p値を修正する。
ところが上記の知恵ノートにも書いたが,どうやら前者,つまり,Welch検定だけを実施するのが最近の主流となっているようなのである。

昨年開発され,話題になりつつある統計解析ツール Statwing でもデフォルトで,
を実行するのである。

そのリンク先を読むと分かるが,もう細かい説明など抜きで,この方法で計算しろ,という感じである。説明の途中からは,正確にはWelch検定というべきなのだが,単に,t-testあるいはANOVAとしか書かれていないのである。

こうなると,大学などで教える統計学の授業や教科書でも,デフォルト?で,この問題を扱うべきだが,上記の知恵ノートにも書いたとおり,少なくとも大学授業関連のウェブページでは,そのような傾向になってないようである。

主流となりつつある検定法が,まだ,大学における一般学生相手の講義では,非主流なのかもしれない。

放送大学の統計学の授業でも,例えば,社会統計学入門('12)では,この問題に触れてなかったような気がする。私自身が放送大学の教員でもなく,学生でもないので,確かなことは言えないが,テレビで見た限り,この“等分散問題”は強調されていなかったと思う。間違っていたら申し訳ない。

この問題を明確に指摘している 奥村晴彦氏も,放送大学で教えていたのだが,それがコンピュータ関連の授業であったため,この問題に触れる場面は無かったはずである。

もしかすると他大学より先端的な授業内容を展開する放送大学だから,どれかの授業でこの問題を扱っているかもしれないので,もしそうなら誰か教えてほしい。

話をStatwingに戻すが,もし,等分散でもなく,正規性の仮定も満たさないデータだったら,どのように検定するだろうか,という点が気になった。

通常,非正規性のデータならば,ノンパラメトリック検定というのが定番である。

しかし,このノンパラメトリック検定でさえ,例えば,最も代表的なU検定でも,分散が著しく異なる標本間の検定は不適当なのである。

これに関しては,例えば,粕谷英一氏のブログ参照
Mann-WhitneyのU検定と不等分散

上記の奥村氏のブログも参照
t検定の話

あるいは,ノンパラメトリック法(岩原信九郎,1964)のU検定の解説を読むと,「2つの分布が著しく異ならないこと」と,きちんと適用条件を書いてある。

つまり,ノンパラメトリック検定だからと言って,仮定フリーというわけではないのである。ノンパラメトリック検定が,どんなデータに対しても万能であるかのような錯覚を抱いている人は注意すべきである。

そもそも,もし母分散が異なる,と結論されれば,母集団が異なるという意味である。このとき,母分散が異なる場合の代表値(平均や中央値)の差の検定法を考える前に,なぜ母分散が異なるのか,それを検討するほうが,ずっと重要なことである。理論的な話題でなく,実際に,医学,生物学,心理学などのようなデータを扱う場合は,もし母分散が異なると推定されれば,その原因こそ解明して欲しいものである。

Statwingの場合は,どうだろうか?この統計解析ソフトでは,ランク化されたWelch検定を実行するようになっているのである。Ranked T-TestあるいはRanked ANOVAと書かれているが,もちろんこれはWelch検定の計算に従っている。つまり,代表値の差の検定として,パラメトリックだろうが,ノンパラメトリックだろうが,Welch検定を利用するのである。ここまで徹底した統計解析ソフトは稀である。是非,試用してみてほしい。

なお,統計解析ソフト R には,多重比較を行なうのに便利な関数 pairwise.t.test がある。これは,デフォルトでは,等分散を仮定した t 検定を行い,オプションを指定するとウェルチ(Welch)検定を行なう。これに関しては,次の Yahoo! 知恵袋を参照。

ウェルチ多重検定と2群の分散分析 t検定,Rのpairwise.t.testを利用

リッカート尺度(Likert scale)のデータに対しては,t検定とU検定が,多くの場合において,同等な検出力(power)を持つことを示した以下の論文も参照してほしい。

De Winter, JCF. and Dodou, D. (2010) Five-point Likert items: t test versus Mann Whitney Wilcoxon. Practical Assessment Research & Evaluation 15(11): 1-16.


私が論じた様々な統計学的な話題のリストは,研究室トップページの「統計学関連の話題」で見られる。

2013年11月16日土曜日

辰野町はレジャーランド化?


2014年現在,新設された遊戯施設は,辰野町観光情報センターの新設の遊具紹介ページに掲載されている。
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LCV(レイクシティケーブルビジョン)ニュースを見ていたら,辰野町に大型遊具施設を作るという(11/05ニュース)。これは,クリックし,まだ視聴できる。

ひとつは,松尾峡のほたる童謡公園,もうひとつは,荒神山に設置。両者合わせて,費用は3200万円だそうだ。もちろん,公費であり,元は税金,住民の懐から出たものである。

驚いてしまった。辰野町は長野県のレジャーランドを目指すのであろうか?以前のブログにも書いたが,ほたる童謡公園は,元々,ヘイケボタルなど,いゆる観光用にならない種類のホタルの生息地であったものを潰して建設された公園である。


かつて,天然のゲンジボタルの名所だった松尾峡の,すぐ近くに,ど~んと作られた鉄の塊みたいなものである。ニュースによれば,それを撤去して,わざわざ新設するという。

旧施設を撤去して,自然の状態にするのかと思いきや,またまた遊具施設を新設するというのである。それも大金をかけて,である。

果たして,町民の総意なのであろうか?

こういう場面では,しばしば共産党が登場し,反対するものだが,この町の議員は,まるで共産党モドキの思想を持っているため反対意見も声高に唱えることがない。

矢ヶ崎克彦氏の後任となった新町長・加島範久氏は,元役場職員である。そのHPで「自然」を強調するが,結局,矢ヶ崎町政の後継みたいなものだから,またまた,経済優先,生態系軽視,生物様性喪失の政策を続けることになるのだろうか?それにして,「自然」を謳う町ならば,もう少し,お金の使い道を考えても良いと思うのだが,無理な注文なのか。

しかし,これだけ大金をかけて,経済優先というのも変かもしれない。やはりレジャーランドを目指すのだろうか?ただし,レジャーという言葉には,自然の中で余暇を楽しむという場合もある。童謡公園の場合は,人工レジャー施設というのが正解だろう。



2013年11月8日金曜日

朝日新聞と辰野町: 食の偽装と外来ホタル養殖


朝日新聞・天声人語(2013年11月7日)を読んで,非常に嫌な気分になった。食の偽装問題を取り上げ,「ウソ」という言葉の意味と関連させて論じた内容である。

少し長めだが,その後半部を引用しよう。

朝日新聞・天声人語,2013年11月7日
どうせ味はわかるまいと客をみくびっていたのだろう。偽るとは真実を隠し人をだますことだが、欺くという言葉もある。嘲笑(あざわら)うにも通じるらしく、相手を馬鹿にして操るという意味が加わる。今回、嫌な感じがするのはまさにこの点だ。
まさに,この嫌な感じが,松尾峡問題,つまり,辰野町で移入した外来ホタルを大量養殖している問題なのである。

2008年6月6日に,生物多様性基本法が公布施行されたのを受けて,私は辰野町役場に対して,松尾峡での外来ゲンジボタルの大量養殖の再検討,周辺地域の在来ゲンジボタルへの影響軽減,および両者を区別した取り扱いを要望した。

しかしながら当時,辰野町役場でホタル養殖を担当していたH課長補佐が述べた言葉が,
観光客は,単にホタルを見に来ているだけで,天然か移入かは区別しない。だから,全体としてホタルが増えればいいのであって,仮に、在来ホタルが減っても構わない
というものであった(JanJan, 2009/12/17)。

この説明の後半部の言外には,儲かれば良いじゃないか,という考えがチラホラ垣間見える。だから,町役場だけでなく,町長や議会も,この外来種養殖問題を公表しないし,したがらない(日本共産党・辰野町議・根橋俊夫氏のこと: 政党人としての資質)。

ちなみ,ほたる祭り期間中は,ホタル保護育成協力金という名の入場料金300円を徴収し,さらに自動車で来た場合には,駐車料金を別に徴収される。敢えて入場料というのは,私が名づけたのではなく,町議会でも議員がそう呼んでいるからである。例えば,平成18年6月の定例町議会での,桜井はるみ議員の発言(同議事録,p.8
今年は入場料取れないようですが、今までにうんと、1,880 万ですか、で、今年はまあ 550 万っていう予想してるんですが
果たして,観光客は,「天然か移入かは区別しない」のだろうか?否むしろ,それを出来ないのであろう。観光客は,そこのホタルが養殖だとは分かっても,パンフレットや辰野町観光サイトを見たら,昔から,例えば,天然記念物に指定される以前から,そこにずっと住んでいたゲンジボタルが守り育てられてきた,と感じるのではなかろうか?

再度,辰野町観光サイトを読んでほしい。そこに書かれた説明で,いったいどのくらいの人が,松尾峡ゲンジボタルが,県外の業者から譲られたり買ってきたりした大量のホタルを移入養殖して成り立っていると分かるであろうか?現在の松尾峡ゲンジボタルは関西のゲンジボタルであり,地元のゲンジボタルは,この移入事業で滅びてしまったことが,DNAの研究で分かっている。

町おこしという理由は,私も十分理解できる。2008年に,辰野町役場に対して,県自然保護課の塩入茂・課長(現・林務部長)が「ホタルが町おこし役立っているのは事実だが,生物多様性にも配慮を」と通達したが,私もそのとおりだと思う。

さらに,ホタル移入事業を始めた頃は,ゲンジボタルの遺伝的多様性が不明だったという理由もあるかもしれない。

しかしながら,これらの理由があってなお,役場という行政が行う事業ならばこそ,誠実に外来ホタル養殖問題に取り組んでほしいのである。

この問題で,大町市の牛越徹(うしこし・とおる)市長から,私が受けたメール(2010年1月18日)は,以下のようなものだった。
辰野町では,ホタル養殖に行政が関与するのであれば,在来種保護は一層重要。解決に時間がかかっても勇気を持って方向を転換すべきだ。
まさに,この指摘のとおりなのである。しかし,全く変われない,移入の歴史的事実も,その弊害も公表できないのが,辰野町の現状である。ここが,冒頭記した,天声人語の言う嫌な感じなのである。

そして,この嫌な感じに上塗りして,嫌な感じを受けたのが,朝日新聞の松尾峡ゲンジボタルの写真記事や武井宏之・朝日新聞記者のツイートであった(ノーテンキな朝日新聞記者のつぶやき)。

彼らは,ホタル大量移入の事実も,その弊害も,一言も読者に伝えず,平然と「東日本有数の生息地」と言って,その姿を賞賛するだけなのである。

果たして,ホタル大量移入の事実や弊害は,読者に全く伏せておいて良い事なのだろうか?敢えて言うべきでない事柄なのであろうか?

ノーテンキな朝日新聞記者のつぶやきにも書いたが,朝日新聞の長野地方版では,松尾峡ゲンジボタルが移入種だと報じているのである。その後も,対策も採らなければ,公表すらしないのが辰野町の姿なのである。

冒頭の天声人語をもう一度読み直した。

偽るとは真実を隠し人をだますことと書かれている。

武井記者らのコメントは,確かにそのものは,偽りではない。しかし,少なくとも,彼らは真実を隠している,と言える,と私は思う。

繰り返すが,辰野町では,役場と言う行政機関が,公費を投入し,かつ,観光客から入場料を徴収し,それで国内最大規模の大量の外来種ホタルを養殖しているのである。それに全く言及する必要が無いのならば,各地でチマチマと行われる愛好家グループや子供たちによる外来ホタル移入放流など,無くなることはないだろう。

辰野では,役場が外来ホタルを養殖してるじゃないか,それで儲けているじゃないか,外来ホタルの放流者,あるいは,他の外来種放流者に,そう言われたとき,武井記者らは何と言うつもりだろうか?それも黙って,見過ごすつもり,あるいは,見てみぬふりするつもりなのだろうか?

どういう神経で,あのような記事やツイートができるのか是非話してほしい。

2013年10月29日火曜日

朝日新聞「声」:メダカ放せる場所、どこに?生態保護に無関心な小学校の話

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2014年11月16日追記

このブログ記事は,メダカを放したい,と考えた小学生に,適切なサポートを与えられなかった学校や教員,さらにはその教育体制を批判したものです。その生徒を批判したものではありません。この生徒が放流以前に,新聞で広く助言を求めたことは,非常に適切なことであり,優れた発想だったと思います。


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朝日新聞10月21日の「声」欄に,東京都の小学生の
「メダカ放せる場所、どこに?」
という質問が掲載された。

かつて自分が野外で採集したメダカに加え,ペットショップで買ったメダカが繁殖し,100匹を越え,飼育しきれなくなったので,放流できる場所を教えてほしい,という内容だった。

「メダカが卵を次々に産んで育てられる川や池を探しています」,という一文に,彼の気持ちが現れている。

これに対して,在来メダカを保護している専門家から,反対の意見が述べられた。

1人は,NPO法人四街道メダカの会・原田功氏
飼育メダカ自然に放さないで

もう1人は,葛西臨海水族園職員・多田諭氏
「『東京めだか』守るためにも」

いずれも在来種保護の立場から,飼育メダカを安易に放流しないよう助言している。

いわゆる「生物多様性保全」の立場から考えれば,当然の助言なのである。

しかし,である。飼育動物を安易に野外に放さないということは,学校がきちんと教えるべきことなのである。小学校低学年のうちに,そのような生物多様性保全の教育をするべきなのである。

12歳の彼が,そのような質問を発したということは,彼が通う小学校では,全くそのような教育がなされず,生物多様性保全に無知・無関心,勉強不足・学力不足の教員から授業を受けてきた,ということなのであろう。

確かに,在来種保護などというのは,所詮,人間が決めた人為的基準,と言い放つ人もいる。

しかしながら,2008年6月6日に公布施行された生物多様性基本法,および,2010年に名古屋で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)を通じて,在来種の保護や外来種への対応は,世界的な重要課題となってきているのである。

例えば,生物多様性基本法の第七条では,日本国民の責務として,次のように定めている。

国民及び民間の団体の責務
第七条  国民は、基本原則にのっとり、生物の多様性の重要性を認識するとともに、その日常生活に関し、外来生物を適切に取り扱うこと及び生物の多様性に配慮した物品又は役務を選択すること等により、生物の多様性に及ぼす影響の低減及び持続可能な利用に努めるものとする。

繰り返すが,日本国民の責務として,外来生物の適切な取り扱いを考えるように,と定められているのである。

では,外来生物とは何であろうか?

2010年(平成22年)3月16日に閣議決定された生物多様性国家戦略2010のp.17に次のように書かれている。

外来種とは,野生生物の本来の移動能力を越えて,人為によって意図的・非意図的に国外や国内の他の地域から導入された生物

これを読めば,当然ながら,飼育メダカを勝手に放流すれば,それは外来種であり,生物多様性基本法に反する行為だ,と分かる。つまり,それは法律違反なのである。

在来種保護などというのは,所詮,人間が決めた人為的基準どころの話ではなく,法律として既に定まっているのである。

小学生くらいなら,男女問わず多くの人が,メダカを含む魚類に限らず,昆虫類,鳥類,爬虫類(トカゲなど),両性類(カエルなど)の飼育を,一度は経験する年代だろう。しかし,それを野外に放すというのは,もはや法律違反の時代であることを教員は生徒に教えるべきなのである。ここで言う教員とは,担任に限らず,教頭や校長であっても良いし,むしろ,そのような管理職こそ明確に述べるべき事柄なのである。

繰り返すが,生物多様性保全というのは,現代的・世界的課題なのである。しかもそれは,生き物の問題,いわば,命の問題なのである。もしこの小学校6年間で,生物多様性のセの字も教えてもらえなかったのならば,そんなボンクラ教員だらけの学校は,さっさとオサラバしたほうが良い。

子供たちによる魚類やホタル類の放流が美談のように語られる場面が,新聞やテレビに出ることがある。しかし少なくとも,それが生態系にとって問題が無いと言えるのか,放流前に勉強し議論すべき事柄なのである。この「声」欄がある朝日新聞のボンクラ東京本社写真部ボンクラ記者・武井宏之氏のように,意図的とも思えるような,辰野町の外来ホタル賛美記事もまた,生物多様性保全の教育を阻む一因となっている。

メダカやホタルの安易な放流を知ったら,マスメディアは,その現場で,あるいは記事で,きちんと問題点を伝えるべきなのである。それが報道としての責務である。


参照
辰野の移入(外来)ホタル 生物多様性の喪失へ
長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの
ノーテンキな朝日新聞記者のつぶやき

2013年10月22日火曜日

共産党もやはり支持,辰野町長選,現町長が支持する加島範久氏が無投票当選


辰野町長選は,現職や共産党が支持する新人の加島範久氏が無投票当選(長野日報,10月23日)した。

現町長の矢ヶ崎克彦氏は,松尾峡の移入外来ホタル問題には,無関心どころか,無視の姿勢で町長の職を終える。

加島氏は,かつて町役場職員だったので,松尾峡の移入外来ホタル問題には,何ら進展が期待できないであろう。

現町長の矢ヶ崎克彦氏は,この加島氏を支持し,「後継者として適任」と述べ,5選出馬を辞退した。

共産党も加島氏を支持(たつの新聞,10/22)して,無投票当選となったわけだが,矢ヶ崎町政を支持してきた共産党だから,当然の結果とも言える。

矢ヶ崎氏は,自民党を支持する町長であるが,その路線を支えてきたのが共産党なのだから,びっくりする。

少なくとも,松尾峡問題に関しては,対策も採らなければ,観光客にも明かさない,という矢ヶ崎氏の政策に,共産党は全面的賛成をしてきた。

繰り返すが,移入外来ホタルのことは明かさない,地元のホタルを増やしてきた,と説明する矢ヶ崎町政を,共産党は支持してきたのである。

共産党の「共」は,移入外来ホタル問題を共に隠そう,のかと皮肉りたくなった。

参照
長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの

辰野の移入(外来)ホタル 生物多様性の喪失へ


2013年10月8日火曜日

第9回信州ホタル保護連絡会 無事終了


9月29日,平成25年度・第9回信州ホタル保護連絡会,小谷村・白馬乗鞍交流センター「ちゃんめろ」で開催された。

下の地図に場所を示したが,google mapでは,場所が分らない!公共施設なのだから,googleもしっかりやってほしい!


より大きな地図で 白馬乗鞍交流センター「ちゃんめろ」 を表示

この連絡会は,開催地周辺のホタル生息状況やその保護を発表するとともに,県内各地のホタル保護団体の活動や問題点を語り合う場である。

















小谷村・白馬乗鞍交流センター「ちゃんめろ」


信州ホタル保護連絡会の会議にしては珍しく,開催地・小谷村の松本久志村長が出席,挨拶された。ただ残念だったのは,松本村長のブログに,この会のことが全く記されてないことである。もう少し,村民にも信州ホタル保護連絡会をPRして欲しかった。






















右が小谷村村長・松本久志さん,
左が司会の長野ホタルの会・小林功さん。


もちろん,わが恩師であり,長野ホタルの会・会長の三石暉弥先生の講演もあった。志賀高原・石の湯ゲンジボタルの調査研究で,ずっとお世話になっている。

















三石暉弥先生の講演。

会議の中で,いくつかのホタル保護団体から,ホタルがなかなか増えないとか,減ってしまって回復しない,という悩みが出た。それに対して,私と三石先生が主張したのは,根気良くホタルの生息状況を見守ってほしい,ということであった。

辰野町のように,観光用だから,町おこしだからといって,安易に県外から移入し,それをさらに増殖させようとしないでくれと,皆に要請した。

長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの

会議の中で,長野県内各地のホタル保護団体共通の悩みも浮き彫りになった。

その一つは,若い人がホタル保護活動になかなか参加しない,というものであった。ほたる祭りだの,町おこしだの,観光や経済でメリットがあれば,さあ若者の出番だ,ということにもなるだろうが,そんなメリットが無ければ,ホタルを真っ当に保護していこうなどと,老若男女問わず,誰でもそう思わないのかもしれない。

全国ホタル研究会や長野ホタルの会も高齢化?してしまいそうな予感もある。

もうひとつの共通な悩みというのが,クマの出現であった。これは,西日本ではあまり出てこない悩みかもしれないが,中部地方以北では,問題となる状況である。

私個人としては,ホタルもクマも守りたい,というのが,率直な気持ちである。


2013年10月4日金曜日

ノーテンキな朝日新聞記者のつぶやき


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追記 2015年11月14日土曜日

朝日新聞が書く統計学的データの解説には,記述が正しくないもの存在する。それに関しては,私が書いた Yahoo!知恵ノート参照。
母数(パラメータ)の意味を理解していない,あるいは,統計学的な素養が欠如する人が,今春大卒2割、進路未定 学部間差、最大5倍という記事を書いているのである。日本を代表する新聞が書く記事としては,お粗末である。

「母数」の意味は大学初級レベルであり,このような不適切な記述を見ると,科学記事のみならず,統計学的データが使われる様々な記事での,朝日新聞の信頼性を疑いたくなる。

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原文 2013年10月4日金曜日

真実を伝えようと努力しない朝日新聞記者の話である。

少し前の話だが,今年の朝日新聞にも,辰野町松尾峡のゲンジボタルの写真と記事が掲載された(朝日新聞デジタル2013年6月19日)。

しかしながら,ここのゲンジボタルが移入外来種であることは全く触れられていないのである。松尾峡では,関西から観光用に大量移入された外来ゲンジボタルが養殖されている。それをおそらく知っての上で,敢えて「東日本有数の生息地」などと平気で言ってのける新聞記事がここにある。笑えない笑い話か,ふざけた冗談かと思うような記事である。

朝日新聞は,2008年6月17日長野・中南27面(田中洋一記者)で,本種が県外から人為的に移入放流されたものであり,生物多様性保全上問題があることを指摘しているのである。

これは過去の問題ではない。現在でも,辰野町役場,町長,町議会は,養殖中の外来ゲンジボタルへの対処法を何ら検討することなく,それが周辺の在来ゲンジボタルに与える影響も全く無視しているのである。しかも役場・町長・町議会は,この外来種の移入の歴史や問題点を観光客に隠すことを前提にして,辰野ほたる祭りを実施し続けている。

前町長・矢ヶ崎克彦氏,現町長・加島範久氏,町議・根橋俊夫氏(共産党),同じく町議・三堀善業氏らの言動を見聞きすれば,外来種ホタルであることを隠して入場料徴収という辰野町の行為が,詐欺まがいであるかのように感じる。

つまり,この外来ゲンジボタルの問題は,何ら状況が変わっていないのである。

ところが,朝日新聞の記者のツイートを見て驚いてしまった。呆れてしまった。情けなくなった。

朝日新聞東京本社写真部(@asahi_photo)(2013年6月19日14:00)


武井宏之・朝日新聞記者(@97hiro1024)(2013年6月19日15:53)

繰り返すが,松尾峡の移入外来ゲンジボタルに関しては,田中洋一記者が生息地を現地取材し,役場から説明を受けて記事を書いた2008年から,何一つ状況は変わっていない。2010年に名古屋でCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催され,在来種保護も国際的な重要なテーマとなったが,それを経ても,なお辰野町は変わろうとしないのである。生物多様性保全を目的とする生物多様性基本法の観点からすれば,松尾峡の現状は違法状態であると言える(辰野の移入(外来)ホタルを参照)。

それどころか,辰野町役場や議会は何ら検討すらしていない,無視を決め込んでいるのである。辰野町松尾峡で,この朝日新聞写真のような多数のゲンジボタルが見られるのは,大量の外来ゲンジボタルを業者から購入したり譲渡されたりして,移入放流した結果なのである。

県外から大量のゲンジボタルを買ったり,譲り受けたりし,それを放流・増殖させたから,現在,「東日本有数のホタル生息地」となっているのである。これも正確に言えば,「日本最大の外来ホタル養殖地」なのである

それなのに朝日新聞記者は,何事もなかったかのように風情に浸ったコメントを残している。のんきなものである。これでは,町が隠そうとしている外来種でのホタル祭り観光事業を,大新聞・朝日が手助けしているようなものではないか?

繰り返すが,松尾峡のゲンジボタルが人為的に移入された外来種であることを,辰野町は意図的に隠しているのである。観光客に渡すパンフレットや,辰野町観光サイトでは,ゲンジボタルを県外の業者から大量移入して増やしたことも,それが在来(天然)ゲンジボタルに悪影響を与えていることも,一言も語っていない。外来ホタル養殖とその弊害を,きちんと公表し,その改善策を町内外の多くの人に考えてもらうように,辰野町に私(井口豊)が何度要望しても,町役場はイヤだと言うのである(例えば,JanJan 2010-2-22記事参照)。

辰野町観光サイトを読むと分かるが,いかにも松尾峡にいた天然のゲンジボタルを守り育てて増やしたかのような自画自賛的な観光名所として,松尾峡のホタルを紹介している。このような事実を隠蔽した辰野町の説明と,上記のような朝日新聞記事や記者ツイートを読んで,果たして,何人の人が,この町で今なお続けられている,観光産業優先の生態系破壊の問題に気づくだろうか?このような問題を放置して変わらぬ行政や政治家の姿勢を,多少なりとも大衆に伝えていくのが新聞社の使命だと私は思う。

情けない,本当に情けない。こんな朝日新聞のつぶやきは,私には,「ノーテンキ」という言葉しか思い浮かばない。

斎藤美奈子氏が,朝日新聞紙面批評(9/10)で,「他紙ならスルーしかねない話題をイヤミったらしく(?)追究し、話題を喚起するのは朝日のお家芸だが,新聞使命は批判しにくい案件にも果敢に切り込むこと」,と述べている。

辰野の外来移入ホタル問題は,まさに後者の問題なのである。辰野町の行政や政治家と同様に,この問題に知らん顔して,「虫たちの物語」だの,「詩的表現」だの,悦に入ったコメントを残す記者の気持ちが私には分らない。新聞記者として品性を欠く,と言ったら,言いすぎだろうか?しかし,このようなコメントを残す人物は新聞記者を辞めて,小説家か芸能人にでもなったほうが良い。

特に辰野町を批判してくれというのではない。しかし,今見るここのゲンジボタルの乱舞は,紛れも無く人為的外来種なのである。それをせめて一言,文面に添えて真実を読者に伝えてほしかったし,そのような観点からのツイートもしてほしかった。

まさか,町を少しでも批判するのに腰が引けて,あのような自画自賛の誌的?コメントをしたわけではないと思いたいが・・

武井宏之記者らは,松尾峡のゲンジボタルが人為的に移入された外来種と知った上で,それに全く触れなかったのか,あるいは,それを知らなかったのか,是非教えて欲しいものである。

もし外来ゲンジボタルだと知った上で,それに一言も触れないのだとしたら,あまりにも読者を愚弄した態度ではないか。移入外来種を愛でる程度のことしか書けない記者は,物事の一面しか見ることが出来ないだろう。そのような人物が書く記事は信頼できない。

参照
長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの

朝日新聞と辰野町: 食の偽装と外来ホタル養殖

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2014年9月14日追記

福島原発事故・吉田調書や慰安婦問題を巡って,記事取り消しだの,謝罪だのと醜態を見せている朝日新聞社の様子を見ると,辰野の外来種ホタルに関しても,正確な情報を伝えようとしない武井宏之記者らは,やはり,同じ穴のムジナ記者だなと感じる。

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2014年11月1日追記

松尾峡の外来種ゲンジボタルと鴻ノ田の在来種(天然)ゲンジボタルの比較動画が,fukuokadonax氏によって,YouTubeに投稿れている。この鴻ノ田こそ,前述の朝日新聞・田中洋一記者が現地取材した在来種ゲンジボタル生息地である。

2013年9月29日日曜日

気候温暖化とルイヨウマダラテントウ: 甲虫学会誌,高田論文から思うこと


昆虫を研究していると,やたらと亜種が増えていく種に出会うこともあるし,しばしば誤同定される種にも出会う。

前者の例が,ヘラクレスオオカブト(Dynastes hercules)であろう。これに関しては,Twitterで,昆虫専門KSLオークションが解説しているので参照すると良い。

一方,後者の例に,ルイヨウマダラテントウがある。

かつて富岡(1986)は,ルイヨウマダラテントウがグリーンタフ変動を受けなかった地域の残存種であると考えた。しかし私(井口,1988)は,その分布パターンが,第四紀最終氷期以降の地形や気候変動の影響を受けていると考え,残存種だとすれば最終氷期のものだろうと推定した。

特に,東京西郊型と呼ばれるタイプは,明治時代以降の気候温暖化や社会変化(例えば,ジャガイモ栽培の活発化)の影響を受けているだろうと考えた。

この私の説には,ほとんど反響はなかった。しかし最近になって,佐藤仁彦が,オオニジュウヤホシテントウの分布要因の一つは気温であることを示した。また片倉晴雄は,気候温暖化がルイヨウなどのテントウムシの種分化の要因になっていると解説した。

これら佐藤や片倉の研究結果を見ていると,上記の私の指摘も間違っていないと分かる。テントウムシの食性や分布を探ることで,地球温暖化の歴史や未来像が見えてきそうで興味深い。

今月の日本甲虫学会誌で,高田兼太(Takada, 2013)による,尼崎市ケーキハウスショウタニ 武庫之荘店の「柚子とホワイトチョコのムース」のテントウムシのトッピング関する論考を読んで,ふと上記の私の論文を思い出した。

なお,東京西郊型の伊豆半島付近の分布について,もし第四紀中期以前に遡って考えようとするならば,プレートテクトニクスに基づく伊豆半島衝突説も考慮に入れる必要が出てくる。上記の富岡(1986)の仮説は,生物地理に与えるプレート運動の影響を考慮に入れてないので,この点でも不十分だと言える。

伊豆半島衝突説と生物地理学の関連については,私の以下のページを参照。

伊豆諸島の生物地理とプレートテクトニクス

参考文献
井口豊 (1988) ルイヨウマダラテントウの分布パターン.昆虫と自然,23(12): 30-32. PDF(要旨)
Takada, K. (2013) Ladybug-shaped chocolate on a mousse cake bought at a bakery in Amagasaki City , Japan. Elytra (new series) 3(1): 195-198.
富岡康浩(1986) 「東京西郊型エピラクナ」の起源およびルイヨウマダラテントウの食性の地理的変異について.昆虫と自然,21(11): 18-21.


Profile

井口豊


2013年8月12日月曜日

日本共産党って何?愛知県東郷町の町議・門原武志氏のコメントを巡って


辰野町は,旧態依然として,利潤追求・生物多様性軽視の立場で,県外から観光用に移入したホタルの増殖事業を続けている。それは既に別のところで詳しく書いた。

長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの

その政策に全面的に賛成しているのが,日本共産党の辰野町議,根橋俊夫・永原良子の両氏である。しかもその根橋氏は,自身のブログで,環境保護活動などと笑止千万のPRを書く政治家である。

このような根橋氏の姿勢を,他地域の共産党議員は変だと思わないのか,それを愛知県東郷町の町議・門原武志氏に質問した。ところがびっくり,門原氏から,よく分からない理由を持ち出され,こちらが叱られて(逆切れされて?)しまったのである。

以下が,そのやり取りである。私とは,井口豊のことである。

私: 2013年8月11日 - 11:35
 @kadohara  門原氏は理系出身のようなのでお尋ねしたいが,利潤優先,生態系無視の政策に全面的賛成する辰野町の共産党町議,なぜ他地域の共産党議員は,これを変だと言わないだろうか?

門原氏: 2013年8月11日 - 16:47
@Iguchi_Y ご意見ありがとうございます。日本共産党 @jcp_cc にお問い合わせくださるようお願い申し上げます。

なんだ回答になってないじゃないか!私はそう思ったのだが,皆さんはどう思われるだろうか?

それで,私はブログ(ページ下部)に次のように追記した。

“それにしても,このトンデモ共産党町議,根橋俊夫氏のことを,他地域の共産党員に話すと,必ずと言って良いほど,共産党本部に言え,と逃げられてしまう。例えば,兵庫県西宮市の元市議・阿波角孝治氏や愛知県東郷町の町議・門原武志氏のコメントがその例である。私に反論するのでもなければ,根橋氏らを批判するのでもない,結局,自分たちの意見を言えない政党なのだろうか?しかも,そう言われて共産党本部に伝えても,結局,ず~っと無回答なのである。

そうしたら,門原氏の批判の矛先が,こちらに向けられたのである。

門原氏: 2013年8月12日 - 5:28
党本部に問い合わせても無回答との由、事実ならば残念です。一方、貴殿は、党本部に問い合わせてほしいとの私の示唆をブログに追記し非難しておられます。しかし組織人として当然の初動をしたまでで非難される覚えはありません。 

しかし,である。このやりとり最初の部分を,よく読んでほしい。私は,どこへ訴えれば良いか,と尋ねたのではない。短文の中で私が言葉足らずだったかもしれないが,私は,むしろ門原氏の意見を聞きたかったのである。

門原氏がいる愛知県は,2010年にCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催された場所である。とりわけ,共産党愛知県委員会は,2008年7月4日に,
地球温暖化抑止、生物多様性保全 日本共産党の基本的考え 
という声明を出しているのである。

その上,門原氏の履歴を見ると,農学系の大学院まで行っていて,生物多様性保全の問題に直接関わってもおかしくない経歴の持ち主なのである。

その門原氏に,辰野町・共産党町議の姿勢はおかしくないのか,と尋ねたら,門原氏は何も答えず,代わりに,自分が非難される覚えはない,と逆切れ?されてしまったのである。

いったい,この政党は,どういう考えの人たちの集団なのか,と疑問に思ってしまった。

門原氏のこのコメントに対し,
「党本部にお問い合わせを」じゃまるっきり「公務員」だ,
というツイートがあったが,まさにそんな感じ。

変な辰野町議の話を,変な人に話してしまった,と言ったら,また門原氏が怒るだろうか?

門原氏自身は,
2013年8月12日 - 17:41
@Iguchi_Y 怒ってませんよ。貴殿は私を非難したようですが。
と述べていたことも付け加えておきたい。

また,門原氏自身が,外来生物の問題に関心を持っていることは,以下のブログ記述を見ると良く分かる。
黄色い花がたくさん。じつは特定外来生物

そこに彼は,
“この植物をどうするかについては、役場環境課に検討するよう要望しています”
と記しているが,外来生物問題は,個人だけでなく,地域全体で考えてもらう必要がある。これはまさに,辰野の移入ゲンジボタルに関しても言えることである。

外来生物というと,外国から来た,外国から持ち込まれた生物と思われがちだが,実は意味がもっと広く,“その地域に元々住んでいなかった生物”のことである。これは環境省の子供向けホームページにも解説がある。
外来生物ってなに?

実際,本州以南では,ごく普通に見かけるカブトムシでさえ,それが元々住んでいない北海道に持ち込むと外来生物なのである。北海道環境生活部環境局・自然環境課が作成した外来種リスト,ブルーリストには,国内外来種としてカブトムシが載っている。


2013年7月5日金曜日

「じゃらん」には載らなかった,辰野ホタル祭りのクチコミ,ここのホタルは移入です


ウェブサイトの見ていると,しばしば,口コミ(クチコミ)欄というものがあるのに気づく。

飲食店,宿泊施設,観光施設,さらには,各種イベントに対する体験報告や情報を書き込む欄である。

先月,辰野ほたる祭り期間中(6月15日~23日)に,じゃらんの「辰野ほたる祭り」の項目に,クチコミを投稿した。

ほぼ同様の内容は,るるぶ.comの「お出かけ日記」にも投稿したので見て欲しい。この「おでかけ日記」の文から,るるぶ.com記事への批判を削ったものが,じゃらんへの投稿文に,ほぼ相当する。

何度も繰り返すが,辰野町では,天然記念物指定地として自然のホタルを保護し,増やしてきたかのように宣伝し,毎年ほたる祭りを実施,有料で,ほたる見物をさせている。

しかし本当は,観光客用に県外から移入したホタルを増殖させたのであり,しかもその結果,元々住んでいた天然(在来)ホタル集団は絶滅してしまったのである。その上,それを観光客には伏せて,ほたる祭りを実施する,という政策を取っている

参考サイト
Yahoo!知恵ノート
長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの

生物科学研究所のホームページ
辰野の移入ホタル 生物多様性の喪失へ

実際に,じゃらんに投稿した人なら分かるだろうが,じゃらんにクチコミを投稿すると,「審査の後,掲載するかどうか決める」というような通知(画面)が現れる。

では,じゃらんの「辰野ほたる祭り」のクチコミ欄を見てほしい。

辰野ほたる祭りには現在クチコミがありません。

と現れる。

しかし前述の通り,私は投稿したのである。審査の結果,掲載不可となってしまったらしい。理由は分からない。

クチコミというと,その信憑性が問題となることも多々あるが,クチコミがネット上に現れる以前に,このように掲載不可となる例があることは,是非知ってほしい。

意地悪く言えば,上記のじゃらんの説明は不正確であり,クチコミ自体はあったのだが,掲載されたものはないのである。

さらに意地悪く言えば,是非,辰野ほたる祭りを賞賛したクチコミを,誰か投稿してみてほしい。感動した,素晴らしかった,どんなクチコミが掲載されるか知りたいものである。

るるぶ.comの「お出かけ日記」にも書いたように,私は,辰野でのホタル見物自体は否定しない。また,前述のYahoo知恵ノートや私のホームページにも書いたが,移入ホタルを排除しろ,と言っているわけでもない。むしろ,積極的に辰野町を訪れ,移入ホタルも天然ホタルも見てほしいと思っている。

私が主張しているのは,移入ホタルは移入として,天然ホタルは天然として,区別して扱ってほしい,ということである。その上,その意義を観光客にも伝え,考えてもらってほしいのである。

祭りの出し物に,ホタルという生き物が利用されている。旅行関連の企業なら,エコツアーという観点も取り入れてほしい,と,じゃらんに対しては思った。

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2014年4月13日追記
じゃらんは,上高地に関しても,
先人の努力により美しい自然の姿をそのままに残している上高地

と書いているが,外来種であるゲンジボタルを楽しもう,と言っている。困ったものだ。

ここのゲンジボタルは,辰野町・松尾峡と同じく外来種なのである。


参考
辰野町と上高地の移入ホタル問題

2013年6月21日金曜日

日本共産党・辰野町議・根橋俊夫氏のこと: 政党人としての資質

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今年,2016年も,辰野ほたる祭りが開催されている。しかし相変わらず,ほたる鑑賞の観光客に向けては,地元のホタルを保護し増やしたかのような,事実を捻じ曲げた説明をしている。現在,松尾峡で多数のホタルが見られるのは,県外から外来種ホタルを買ってきたり,譲られたりして増殖させた結果である。

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以下は,2013年6月21-30日の記事

辰野町の移入ホタル問題に関して,この町以外の共産党議員に聞いて分かったことがある。党の主張や理念に忠実な議員と,それに縛られずに行動する議員がいるということである。共産党というと,党議拘束きっちり,というイメージがあっただけに意外であった。

後者のタイプの議員は,良く言えば,柔軟な考え方をするのだろうが,党の主張を考慮して投票したりすれば,とんだ食わせ物,ニセモノ共産党員ということになる。今風に言えば,なんちゃって共産党員,ということになる。その典型が,辰野町議・根橋俊夫氏だろう。

その彼が最近,ブログTwitterを始めたことを知った。

しかしながら,彼のブログ冒頭を見て,びっくり仰天である。

なんと,環境保護活動,と書いているではないか!

この人は,在来ホタル保護活動には不熱心で,辰野町ホタル保護条例改正にあたっても,移入ホタル対策や在来ホタル保護に,何の質問もせず,疑問も持たなかった人である。

2008年から施行されている生物多様性基本法は,国会で共産党も賛成し(第169通常国会),可決・成立した法律である。それにもかかわらず,移入ホタル問題に知らん顔している根橋俊夫氏は,共産党議員としての職務を果たしてない,ということである。

おそらく,こういう議員は,生物多様性基本法とか,COP10とか,ろくに知らないし,まともに勉強してないのだろう。あるいは,共産党機関紙「赤旗」に書かれた,これらの関連記事すら,まともに理解してないのかもしれない。しかし,それでは政党人として失格である。それならそれで,離党して無所属議員として活動してもらいたいものだ。

この問題の経緯は,ヤフー知恵ノート
長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの
にも書いた。

それを読めば分かるが,この町の移入ホタル事業は,経済利益優先なのである。在来ホタル生態系を保護しようなどという考えは微塵もないのである。それどころか,移入した歴史的事実も,在来ホタルを絶滅させた生物学的事実も,観光客には伏せたまま,辰野ほたる祭りを実行しているのである。その政策に全面的に賛成している1人が,根橋俊夫氏なのである。

辰野町松尾峡の移入ホタル問題を巡っては,いくつも新聞に書かれ,長野県自然保護課からも連絡が入り,役場の職員が「迷惑だ!」と言うほどジャンジャン電話がかかってきたのである。

しかしながら,根橋俊夫氏,およびもう1人の共産党町議・永原良子氏を含む,辰野町議会は,これらを問題を議会で質問すらしていない。

辰野町ホタル保護条例改正にあたっても,移入ホタル対策や在来ホタル保護に関して,質問すら全くせず,まるで小学校の学級会のごとく,「意義な~し!」で,改正条例を成立させた1人が根橋俊夫氏である。

もちろん,これらの問題を彼が知っての上での話である。

観光用に県外から移入したホタルを増殖させ,経済的利益のために天然(在来)ホタルより移入ホタル優先する。移入ホタルを使っていることや,それで地元の在来ホタルが滅んだことは観光客に明かさない。これが,現町長・矢ヶ崎克彦氏の政策である。つまり,移入(外来)ホタルであることを隠しての町おこしでなのある。

矢ヶ崎氏自身は,国政選挙で自民党を支持する町長だから,このような政策をとるのは普通の意識なのかもしれない。しかし,繰り返すが,それを全面的に支持し追従しているのが,辰野町共産党なのである。

共産党委員長・志位和夫氏はTwitterで次のように述べている。
「恐慌、失業、貧困と格差、環境破壊などの矛盾を、人類は乗り越えることはできないのか?  私達はそうは考えていません。資本主義という利潤第一主義の社会を乗り越えて未来社会」

こと環境問題に関しては,志位氏の考えに逆行しているのが,辰野町共産党なのである。

前回町長選(2009年)でも,共産党は,とりあえず?赤羽公彦氏を支援したようだが,積極的に独自候補を擁立したわけではなかった。それはそうだろう,と思った。今述べたように,実は,矢ケ崎町長の政策を支持しているのである。同じ穴のむじなが,面と向かって反旗を翻すなど,できるはずがない。

上記ヤフー知恵ノートにも書いたが,松尾峡の移入ホタル問題を,「なぜ新聞記者に話した!」と私は辰野町役場で怒鳴られているのである。

しかし,この環境保護を謳う根橋俊夫氏は,知らん顔なのである。環境保護どころか,人権保護の感覚さえ欠如してるのでないかと思われる人物の姿がここにある。

根橋氏のTwitterによると,ご本人は
“「身土不二」という言葉の意味を考えて農業に従事”
しているのだそうだ。身土不二?きっとこれは,外来のものを大切に,という思想なのだろう。

根橋氏だけでなく,もう1人の共産党町議,永原良子氏も全く同じ態度である。この辰野町の移入ホタル問題と,二人の町議の態度を,共産党長野県委員会にも伝えたが,無回答,無反応。どう考えているんだろうか?

他党の政治家が見過ごすことを追及してこそ共産党の存在価値がある,と私は思っていた。

例えば,私の地元,岡谷市では塩嶺病院に看護学校を設置する計画がある。しかし,そこに活断層が存在する可能性があり,その調査の必要性を市議会で取り上げたのが,ただひとり今井秀実・共産党市議であった。

あるいは,2010年参院選・長野県選挙区から,共産党候補として出馬した中野早苗氏の活動も見て欲しい。長野市のホタル生息地の清掃で,彼女は外来のセイヨウタンポポを偶然見つけ,それを駆除しているのである。このような行動は,日常から,外来生物問題に関心がないと,なかなかできないことである。さらに中野氏は,自身のコラム「散歩道」の中の「再び上野のホタル」というウェブページで,「辰野などはホタルが少ないときは数十万匹単位で輸入していると聞きました。」と辰野の外来種ホタルについて触れているのである。

一方で,辰野町の共産党町議,根橋・永原両氏は,これらとは真逆の態度を取る政治家なのである。特に根橋氏のように,環境保護活動をしている,などと言う政治家には,大言壮語と言うしかない。

今度の参議院選挙では,長野選挙区から,唐沢ちあき氏が立候補したが落選。根橋,永原両氏の態度をどう思うか,彼女にも辰野の移入ホタルについて考えを聞いてみたかった。

このトンデモ町議に関連して,以下のページも参照。

日本共産党って何?愛知県東郷町の町議・門原武志氏のコメントを巡って

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2013年8月11日追記

それにしても,このトンデモ共産党町議,根橋俊夫氏のことを,他地域の共産党員に話すと,必ずと言って良いほど,共産党本部に言え,と逃げられてしまう。例えば,兵庫県西宮市の元市議・阿波角(あわかく)孝治氏や愛知県東郷町の町議・門原(かどはら)武志氏のコメントがその例である。私に反論するのでもなければ,根橋氏らを批判するのでもない,結局,自分たちの意見を言えない政党なのだろうか?しかも,そう言われて共産党本部に伝えても,結局,ず~っと無回答なのである。最初に共産党本部にメールしたのが,2011年6月下旬。それから何の回答もない。

なおこのように,門原氏らが自らの意見を述べないことを批判したら,門原氏から以下のコメントが返ってきた。
党本部に問い合わせても無回答との由、事実ならば残念です。一方、貴殿は、党本部に問い合わせてほしいとの私の示唆をブログに追記し非難しておられます。しかし組織人として当然の初動をしたまでで非難される覚えはありません。

党本部に問い合わせるように告げることは,彼の言うとおり,組織人として当然の初動なのかもしれない。しかし,私が聞きたかったのは,門原氏らが自らどう思っているかであった。それを全く述べないから,逃げている,と表現したのである。政治家に何らかの質問した時,「党本部に聞いてくれ」だけ済ませるコメントなど,まず聞いたことが無い。

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2014年1月1日追記

根橋俊夫氏のブログTwitterは,昨年(2013年)の衆院選(7月21日)直後で停止しているようだ。共産党の選挙対策の一環なのか。彼は後述するように,「なんちゃって共産党員」みたいな人物だから,とりあえず党の選挙戦略に従っただけなのかもしれない。自ら党の主張を世に伝えようなどとは思いもしない人物なのだろう。もし,党に言われたからそれをやった,というだけなら,そもそも政党人としての資質に欠ける人物が政治家をやっていると言える。

同じ町議でも,上記の門原武志氏のように,さかんに意見を発信していると,賛同できない意見であっても考えてみよう,という気を起こさせる。根橋氏のように,ブログもTwitterも国政選挙前後に,おざなりにやっただけ,しかもこちらからの質問にはまるで答えない,知らん顔,という議員には,背筋が凍るような不気味さを感じる。その人物が個人として,そして共産党の政治家として,何を考えているか全然分からないのである。

私(井口豊)のところに,岡谷市の共産党員の方々が,赤旗購読や,さらには入党まで勧めに来ることがあるが,根橋氏のような無為無策,恥知らずな人物がいる政党を支持するわけにはいかないと口頭で伝え,赤旗購読も入党も丁重に断っている。


Profile

井口豊




2013年6月20日木曜日

全国ホタル研究会の表紙が華麗になっている


全国ホタル研究会会誌の表紙が,近年かなり華麗になってきた。

下の左が,2003年沖縄・久米島大会の表紙
その右が,10年後の,今年2013年福岡・北九州大会の表紙

今年の表紙は,北九州の国定公園・平尾台の写真。こちらの表新のほうが,はるかに人目を引く。

もちろん,研究会誌なのだから,内容が問題であり,その点,新旧の会誌の重要度に差は無い。しかしながら,日本各地で大会が行われ,しかも自然保護・生物多様性保全を唱える研究会なのだから,今回のように,その地方を象徴する「自然景観」を表した表紙にしてほしいと願っている。



2013年6月14日金曜日

全国ホタル研究会・第46回大会(福岡県北九州市)無事終了


今年の全国ホタル研究会・第46回大会は,福岡県北九州市・北九州国際会議場,6月7日(金)~9日(日)に開催され,無事終了した。

様々な専門的な研究発表があったが,その合間に行われた久米島ホタレンジャーの子供たちによる人形劇「山のくみ汁」が出色であった。





普通の研究会や学会では,なかなか見られないものである。

がんばれ,久米島ホタレンジャーの諸君!

この大会で,草桶秀夫・福井工大教授が,辰野のゲンジボタルDNA分析結果を改めて示し,松尾峡では関西からの移入ホタルが養殖されていると結論づけた。

木村和裕・日和佳政・草桶秀夫
ゲンジボタルの遺伝子解析による人為的放流か自然発生かの判別法 

その上で草桶氏は,ホタル養殖に関して,全国の自治体に情報公開を呼びかけた。

ホタルを移入した場合,あるいは,移入であることが判明した場合,少なくとも役場や役所など自治体が関わるホタル飼育事業であるならば,移入元を公表するのが自治体の責務だ,と草桶氏は訴えたのである。私も全く同意見である。


2013年6月5日水曜日

2013年全国ホタル研究会とほたるサミット: 辰野町サミット休会中の話題も含めて


今年(2013年)の全国ホタル研究会は,北九州国際会議場(北九州市小倉北区)において,6月7日(金)~9日(日)に開催される。ほたるサミットと合同シンポジウムもおこなわれる。

ほたるサミット参加市町は,愛知県阿久比町(あぐいちょう),滋賀県米原市(まいばらし),和歌山県紀の川市(きのかわし),岡山県真庭市(まにわし),山口県下関市(しものせきし),福岡県北九州市(きたきゅうしゅうし)の6市町。本来は7市町で,実は辰野町も加入しているが,なぜか,辰野町だけ長期?休会中である。

辰野町が,ホタルを観光の目玉と考え,松尾峡をホタル鑑賞スポットと考えるなら,ほたるサミットに出席して,そのホタルを売り込んで,町おこしの宣伝をすれば良さそうなものである。しかしながら,なぜか,そうしないのである。

辰野町では,天然ゲンジボタルの生息を絶やしてしまうほど,県外から観光用に大量のゲンジボタルを松尾峡に移入した。さらに,「里山の自然」を壊してまでも,遊具施設「ほたる童謡公園」を作り,観光客用の駐車場を作った。

しかも,これらのことを新聞などに言うことは迷惑だと,苦情を言う辰野町役場。

さらに,松尾峡における生物多様性破壊の事実を記したウィキペディアの記事を意図的に削除。

そこまで,ホタル観光ビジネス?を重視しているのに,ほたるサミットや全国ホタル研究会には参加出席しないのである。

不思議な町,辰野町である。


2013年5月28日火曜日

日本のカブトムシは,AllomyrinaかTrypoxylusか?・・・未だに続く混乱・・・


カブトムシ雄の角長と闘争頻度について”のページでも少し触れたが,海外では,日本のカブトムシの属名に関する議論がいまだ続いているらしい。

BeetleForum.Net
Genus Allomyrina vs. Trypoxylus

現在,少なくとも日本国内では,日本のカブトムシの属名には,Trypoxylusが使用されているし,私の最近の論文でもそうである。しかしながら以前は,これに対し,Allomyrinaが使用されてきた。

しかし,このAllomyrinaの使用には,今でも反対する分類学者がいる。Ratcliffe博士もその1人である。

Ratcliffe B.C. (2008) Book Review. Atlas of Japanese Scarabaeoidea. Volume 2. Phytophagous Group I. Coleopt. Bull. 62(1): 63-64.

彼は,この書評で,
Trypoxylus is a junior synonym of Allomyrina.
だと主張している。

実は,数年前に,私が彼からメールをもらったときも,彼がかなり厳しい調子で,同様なことを主張されていた記憶がある。

そもそも,事の発端は,私の知る限り,公式には,三宅義一(1998)が甲虫ニュース123でTrypoxylusの推奨を言い出したことにあるらしい。

ところが,この甲虫ニュースの論文は,分類学上で重要な変更を伴う内容にも関わらず,全く日本語だけ書かれていた。しかもこの雑誌は,どちらかというとマイナーな雑誌なのである。もちろん,甲虫ニュースは全国規模で読者がいる和文誌(ニュースレター)なのだが,それでも,世界規模で言えば,マイナーな雑誌であり,外国人では読む機会も少ないのではないかと思われる雑誌であった。

野村周平氏が,月刊むし339号(1999)において,このようなことは英語で書くべきだと苦言を呈して(警告して?)いたが,全くそのとおりであり,そうしなかったことが,少なくと海外では現在でも, AllomyrinaTrypoxylusかと言った混乱を生んでいるように思える。

2013年3月10日日曜日

活断層・「塩嶺断層」の調査に対する岡谷市の姿勢: 岡谷小学校存廃と関連して


岡谷市の塩嶺病院に看護学校を設置する計画があるが,その直下には活断層が存在することが知られており,9月6日のブログでも言及した。

岡谷市・塩嶺病院直下の活断層: 岡谷市看護専門学校を設置

その後,看護学校だけでなく,特別養護老人ホームも設置する計画も出てきており(長野日報,2013年3月1日),ますます,その地質調査が重要となっている。

岡谷市議会の平成25年第1回定例会の一般質問では,今井秀実(共産党)議員が,敷地内の活断層調査の必要性に言及し,市役所の宮坂総務部長が応答した(岡谷市民新聞,2013年3月10日版でも報道)。

今井議員の質問内容は,市議会ホームページの平成25年第1回定例会のp.3で見られる。また,その質疑応答の様子は,岡谷市議会の議会放送「映像ライブラリ」のアーカイブとして,http://www.city.okaya.lg.jp/okaya/gikai/2503-07.wmvから動画がダウンロードできる。あるいは,オンラインで見るなら,私の研究室リポジトリの今井秀実議員の議会質問の動画を閲覧してほしい。

この動画の4分40秒付近に今井議員の活断層に関する質問があり,22分付近に市側の回答がある。特に,活断層関連の質問と回答部分を取り出した動画が次のものである。

video

この動画を見ると分かるが,市では産業技術総合センターのデータベースに活断層が示されていることを把握している。それにも関わらず,国土地理院の都市活断層図には明記されていないとか,調査しても活断層を特定するのは難しいとか,直ちに大きな危険性を判断するのは難しいとか,言い逃れみたいな答弁で,調査する前から問題を放棄している。しかも,調査しても特定が難しい例として挙げられたのが,原発敷地内の活断層なのである。

ここでは,便宜上,この活断層を「塩嶺断層」と呼ぶことにする。9月6日のブログでも言及したが,この塩嶺断層は,ごく最近見つかったものである。都市活断層図に載っていなくて当然である。逆に言えば,速報性に優れた産総研のデータベースのような存在こそ重要なのである。

その活断層データベースで活断層の位置が見られるので,住民は是非参考にしてほしい。塩嶺病院一帯の地層が,西北-東南に延びる複数の活断層によって切られているのが分かるだろう。

実は,塩嶺断層については,名古屋大学を中心とした変動地形研究グループの「糸魚川-静岡構造線」活断層情報ステーションにも示されている。

もし,オンラインで地図の見方が分からなければ,以下のPDF資料をダウンロードして見ると良い。
糸魚川‐静岡構造線断層帯変動地形資料集
No.2 中北部(松本-茅野間)
(平成20年1月刊行,平成22年3月修正)

この資料のp.14の写真およびp.15の地図(CN-4)を見れば,塩嶺病院のほぼ直下に活断層があることは一目瞭然である。

しかもこのデータ作成日が,平成20年1月刊行,平成22年3月修正となっている点にも注目してほしい。一方,都市圏活断層図整備一覧の51.諏訪の説明を見ると,平成10年調査,平成11年7月30日刊行となっているのである。つまり,国土地理院の都市圏活断層図は,「糸魚川-静岡構造線」活断層情報ステーションより10年も前のデータなのである。宮坂部長の市議会での答弁は,これら最近の活断層情報を軽視していると言える。

これは塩嶺病院の問題に限ったことではない。上述のとおり,宮坂部長自身が,産総研のデータベースに岡谷市の活断層情報があることを認めているのに,市の防災情報のWebページには,そのような情報源が全く示されていないのには呆れてしまう。危険な情報は,なるべく見せたくない,知らせたくない,そんな意図なのか,と勘ぐってしまう。

塩嶺断層に関して,活断層の専門家に意見を求めたり,国土地理院に最新の活断層地図情報を尋ねたりするのに,たいして時間も費用もかからないと思われる。その程度のことさえやらないのは,自然災害に対する認識が甘いと言わざるを得ない。万一,塩嶺地区で地震や豪雨による災害が起きた後に,「想定外」とは,もはや言うことはできまい。

最近,岡谷小学校が軟弱地盤のため現地存続が困難と市が判断,という報道があった。このケースでは,地盤調査を行い,その上で同小学校の現地存続が困難と結論づけられたようである。それに対して,塩嶺の看護専門学校の設立のケースでは,専門家の意見さえ求めないという対照的な様相を呈している。

ただし岡谷小学校存廃問題でも,市としては,地盤・地質の調査資料をHP等で一般公表することは避けている。岡谷小学校のあり方検討委員会でも,委員の1人から,「HP に資料を掲載しても、それを一般の人が見ても分からないと思う」(第4回 岡谷小学校のあり方検討委員会 会議録,p. 4)という,言い訳にもならないような意見が出ているから驚く。

なお,塩嶺病院を含め,岡谷市付近を通る活断層については,仙台放送のコラム「大地震に備える」第10回・活断層はどこまでわかっているか?でも,名古屋大学・鈴木康弘氏が,Google Earthの写真で断層を示して解説している。この写真にも,塩嶺病院,すなわち,岡谷市看護専門学校の直下を通る活断層が赤線で明示されているのである。

岡谷市だけでなく,諏訪湖周辺地域の住民は,「家一軒一軒と断層の位置関係が分かる」という鈴木氏の言葉に注目すべきであろう。

参考Web page
岡谷市で発見された糸魚川ー静岡線に関連する活断層: 岡谷市役所ー敬念寺断層

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2016年5月10日追記

山形県では,活断層上にある高校や警察など,県施設を公表した(山形新聞 2016年05月10日)。長野県では,上記のように,新設される看護学校の敷地内の活断層が,市議会で問題になったにもかかわらず,全く調査もされずに,新設が許可され開校されたのである。

岡谷市看護専門学校(旧塩嶺病院)の下を通る活断層は,信濃毎日新聞社編集局(1998)「信州の活断層を歩く」の諏訪・岡谷断層群の記述で,p.105の地図にも記載されている。

辰野町,相変わらず隠そうとする移入ホタルによる地元ホタル絶滅


ウィキペディアの松尾峡の項目を見て仰天したという話題である。

2013年,65回目を迎える辰野ほたる祭り。その中でも,ホタル移入の歴史およびその生態的悪影響の事実を隠そうとしている辰野町の実態が,またまた現れたようだ。

辰野町のホタルが県外から観光用に移入されたものであり,それによって地元ホタルが絶滅してしまったことは,私自身,何度か書いてきた(辰野の移入ホタル長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍)。

これは,全国ホタル研究会のおいても,何人かの研究者によって指摘されてきた松尾峡の問題点である。

最近,久しぶりに,ウィキペディアの松尾峡の項目を見て,その履歴を読み,びっくり!!

松尾峡のホタルが県外から移入されたものであること,それが結果的に地元ホタルを絶滅させたことなどが,完全に削除されているのだ。以下ページの削除前後の版を見て欲しい。

削除前(左): 2012年6月24日 (日) 07:37
削除後(右): 2013年2月12日 (火) 00:54

つまり,以下の記述の中で,赤字部分だけ,すっかり削除されていたのである。

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位置

JR辰野駅の北方約1kmにある天竜川沿い(特に西岸)地域のことを言う。

歴史

明治時代よりゲンジボタルの発生地として知られ,1926年(大正15年)にホタル発生地として長野県天然記念物に指定され、1960年に再指定された。毎年多くのホタル見物客で賑わう地域でもある。

ホタル発生の現状

町の発表では、6月から7月にかけて、ピーク時には1日当たり、1万匹を超えるゲンジボタルが発生している。

ホタル飼育の問題点

1960年代に,主として観光目的で地元産ゲンジを補うために,膨大な数のゲンジが他県業者などからの購入や譲渡によって繰り返し放流された。この事実は意外と知られていない。最近の研究によって,松尾峡のゲンジは,すっかり移入ゲンジに入れ替わってしまい,ここに元々いた天然のゲンジとは系統も発光周期も異なることがわかってきた。
このように、人為的移入種が在来種を駆逐し,生物多様性が損なわれてしまった典型的な地域となっている。
辰野における移入ホタルが、本来地域集団が有していた特性を撹乱しているとの指摘が、長野県生物多様性概況報告書にも記述された。

天然記念物指定地としての松尾峡

松尾峡のゲンジは、ホタル自体が天然記念物とか,保護した自然のホタルが増えてきたとか誤解されることがある。しかしながら,上述のように,生息地(環境)が天然記念物なのであり,他県からの移入養殖によって個体数が増えたのである。生息地指定の天然記念物であるため,過去における他県からのゲンジの移入放流事業も問題とはならなかった。しかしその結果,天然記念物指定地でありながら,天然ではない移入放流され養殖されたホタルが生息している。

辰野町ホタル保護条例によるホタル保護

松尾峡を含め、辰野町全域のホタル生息地が、町が定めた条例である辰野町ホタル保護条例によって保護されている。
もともとこのホタル保護条例は、その前文に書かれたとおり、辰野町環境基本条例(平成10年3月24日条例第1号)[8]の理念を基にして成立したものである。そして、この辰野町環境基本条例には、生物多様性の確保や野生生物の種の保存(第7条(2))が明記されている。

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試しに,赤字部分を飛ばして読んでほしい。いかにも,天然記念物指定された在来ホタルを保護しているかのような印象の文になる。都合の悪い事実を隠すどころか,改ざんしているのである。

最近の同ページを見ると,復活されている。もし削除した人物が町関係者なら,なんと情けない町であることか・・・。もし町関係者でなければ,町を訪れる観光客にウソの情報を与える人物がいることになる。

ウィキペディアの記事は,誰でも自由に追加したり削除したりすることができ,それが良くも悪くも特徴となっている。しかし,削除して表面上は消えた記述でも,基本的に,履歴にはちゃんと残るのである。それゆえ,上記のような削除は,自分たちに都合の悪い点を削除したかのような印象さえ与えてしまう。それを削除した当人は果たして理解してるのだろうか?

もし,事実と異なる内容なら,ウィキペディア管理者に通報すべきだが,辰野の移入ホタルに関しては,事実を覆い隠そうとするような行為が多々ある。その一端は,以下のYahoo知恵ノートに書かれている。

長野県辰野のホタル再考: 観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍

これら事実を,ひたすら隠したい人(人々?)がいるようだ。

なお,松尾峡に移入された外来ゲンジボタルを隠すという点では,それを敢えて読者に伝えようとしないマスメディアの責任も大きい。例えば,以下のページ参照。
ノーテンキな朝日新聞記者のつぶやき