2024年3月21日木曜日

2024年3月2日土曜日

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長野県下諏訪のウスバキトンボの内容は,以下のサイトに移転しました。

長野県下諏訪町におけるウスバキトンボの観察記録

第7回信州ホタル保護連絡会無事終了

第7回信州ホタル保護連絡会無事終了

第7回信州ホタル保護連絡会は, 2011 年 8 月 21 日に,懐古園で有名な小諸市で開催された。

地元だけでなく,松本,長野,千曲,佐久などから参加者があったが,伊那地域からの参加者は無かったようで残念だった。

私の高校時代の恩師,三石先生(最前列右から二人目)は,もう 80 歳近いが,相変わらず元気である。 35 年前の,私の高校時代と全く変わらない好奇心,それが,先生のエネルギーの源だろう。

県自然保護研究所の北野聡さんが,有害外来種の巻貝コモチカワツボ Potamopyrgus antipodarum が,辰野を含む天竜川や松本・塩尻など犀川水系で広がりつつあると指摘した。困ったことである。

外来種ホタルを意図的に繁殖させている辰野町や上高地に続いて,長野県内の他地域でも野外に移入個体の放してないか心配する声も出た。

関連サイト

第9回信州ホタル保護連絡会(小谷村),無事終了

第9回信州ホタル保護連絡会(小谷村),無事終了

第 9 回信州ホタル保護連絡会は,2013 年 9 月 29 日に,小谷村・白馬乗鞍交流センター「ちゃんめろ」で開催された。

この連絡会は,開催地周辺のホタル生息状況やその保護を発表するとともに,県内各地のホタル保護団体の活動や問題点を語り合う場である。

信州ホタル保護連絡会の会議にしては珍しく,開催地・小谷村の松本久志村長が出席,挨拶された。

右が小谷村村長・松本久志さん,左が司会の長野ホタルの会・小林功さん。

もちろん,わが恩師であり,長野ホタルの会・会長の三石暉弥先生の講演もあった。志賀高原・石の湯ゲンジボタルの調査研究で,ずっとお世話になっている(特異なゲンジボタル生息地,志賀高原・石の湯)。

三石暉弥先生の講演。

会議の中で,いくつかのホタル保護団体から,ホタルがなかなか増えないとか,減ってしまって回復しない,という悩みが出た。それに対して,私と三石先生が主張したのは,根気良くホタルの生息状況を見守ってほしい,ということであった。

私も,辰野町のように,観光用だから,町おこしだからといって,安易に県外から外来種を移入し,それを増殖させないでほしいと要請した。(長野県辰野のホタル再考:観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの)。

さらに,長野県内各地のホタル保護団体共通の悩みも浮き彫りになった。

その一つは,若い人がホタル保護活動になかなか参加しない,というものであった。ほたる祭りだの,町おこしだの,観光や経済でメリットがあれば,さあ若者の出番だ,ということにもなるだろうが,そんなメリットが無ければ,ホタルを真っ当に保護していこうなどと,老若男女問わず,誰でもそう思わないのかもしれない。全国ホタル研究会や長野ホタルの会も高齢化?してしまいそうな予感もある。

もうひとつの共通な悩みというのが,クマの出現であった。これは,西日本ではあまり出てこない悩みかもしれないが,中部地方以北では,問題となる状況である。

私個人としては,ホタルもクマも守りたい,というのが,率直な気持ちである。

ホタルとは直接関係ないが,ショウリョウバッタモドキ (Gonista bicolor) は,長野県小谷村が,国内最高標高の生息地と言われる(丸山隆・井田秀行, 2022)。

関連サイト

長野ホタルの会

長野ホタルの会が創立20周年: 三石暉弥先生と生物多様性保全

第5回信州ホタル保護連絡会: 移入ホタルの何が問題か? 辰野町松尾峡を例として

第7回信州ホタル保護連絡会無事終了

第8回信州ホタル保護連絡会:松本市の有害外来種巻貝コモチカワツボ

長野県岡谷市で見かけたオンブバッタ

参考文献

丸山隆・井田秀行 (2022) 長野県小谷村に残る伝統的茅場の昆虫相 (続報): 2020 年と 2021 年の調査結果 信州大学教育学部附属志賀自然教育研究施設研究業績 59: 45-56.

2024年3月1日金曜日

英語で,以上,以下を間違えやすい:NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」

英語で,以上,以下を間違えやすい:NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」

NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」, 2019 年 2 月 12 日放送の話題である。

そこで,以上・以下,超(より多い)・未満を英語できちんと区別せよ,という。内容が語られた。

私も,以前,生物系の論文で指摘したことがある。

井口豊 (1994)
なぜ"more than"を誤訳するのか?
生物科学,46(3): 159-163.

more や less を使った比較で,正確な翻訳が出来ていないのである。要するに,不等号に等号を含むのか(≧),含まないのか(>),という問題である。

私が取り上げた例では,有名な出版社の大学入試問題解説でも間違えているものがあった。

数学や理科でなく,「英語」の問題だから, 1 以上でも, 1 より多い(大きい)でも,本質的な問題ではない,とも言える。しかしそれでも,納得できないような例もあった。

NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」,この 2 月 12 日放送分を聞いていて,以上・以下,超(より多い)・未満を英語できちんと区別せよ,との指摘が為されていて,さすが,この番組だなと思った。

「社会・経済・科学技術・文化など多岐にわたるニュース」を扱う番組だったから,当然と言えば,当然だろう。

たかがラジオ講座と侮ってはいけない。聞き流しているだけでも,役立つ情報を得られることがある。実践ビジネス英語で聞いた統計学的な話題も,別ページに解説した。

これも,大学生でさえ(理系でも?),理解していない人が多そうな問題であった。

なお,四分位数に関しては,以下のページも参照してほしい。

2024年2月29日木曜日

ゲンジボタル3型の存在を明記した長野県の生物多様性の解説

ゲンジボタル3型の存在を明記した長野県の生物多様性の解説

長野県環境部自然保護課がまとめた長野県の生物多様性ウェブページに,県内におけるゲンジボタル Nipponoluciola cruciata (以前は Luciola cruciata) の生態的(明滅周期の) 3 型(東日本型,西日本型,中間型)の存在が明確に記されている。

ページ上から 1/4 付近の「遺伝子の多様性」という項目に,下記のように,はっきりと書かれている。

長野県中南部に、この中間型である3秒に1回発光するタイプが存在することが確認されました。

都道府県レベルで,ゲンジボタル 3 型の生息を明記した生物多様性の解説は少ない。

しかし当然と言えば,当然である。ゲンジボタル 3 型がいずれも存在することは珍しく,しかも辰野町松尾峡のように, 2 秒型が観光用に大量移入養殖された状態で存在するから, 3 型が混在するのである。

長野県辰野のホタル再考:観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの

冒頭の長野県の生物多様性解説については,実は,私の研究結果が大いに利用された。長野県環境保全研究所発行の長野県生物多様性概況報告書に, Iguchi (2009)Iguchi (2010) として引用されたのがそれである。本文では, p.26, 38, 56 の文献番号 94, 95 がそれに当たる。

前者は,辰野町松尾峡における移入外来ゲンジボタルの繁殖を遺伝的・生態的に明らかにした研究であり,後者は,フォッサマグナ地域におけるゲンジボタル 3 型の存在を回帰分析によって明らかにした研究である。

ゲンジボタルについて触れた生物多様性関連の都道府県や市町村の報告書は珍しくない。しかし,自らの自治体内で学術的研究が行われて, 3 型という多様性が明記された例は少ないものと思われる。

ゲンジボタル 3 型と地形地質との関連については,私の研究室ウェブ解説も参照。

ゲンジボタルの地理的変異と地質学的事件の関連

参考文献

Iguchi Y. (2009) The ecological impact of an introduced population on a native population in the firefly Luciola cruciata (Coleoptera: Lampyridae). Biodiversity and Conservation, 18: 2119-2126.

Iguchi Y (2010) Temperature-dependent geographic variation in the flashes of the firefly Luciola cruciata (Coleoptera: Lampyridae). Journal of Natural History, 44: 861-867.

2024年2月9日金曜日

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北海道日高町で見かけたヒグマとダニの情報は,以下のサイトに移転しました。

となりのヒグマ山ありダニあり: 北海道日高町ポスター